「ナイジェル・エアーズそのワークスにみえるビザールとコラージュの差異」
とは言ったものの、このクリティーク、あくまで更新方式で綴っていきたいと思います。そして完成は2012年末ということで完成するまではディスクガイド的な要素を含めて。(最新は1月10日のAutonomia号です)
1. Nocturnal Emissions – Autonomia - The Portland Album
(Soleilmoon Recordings/1996)

87年にテープスフリークな連中向けにスメグマやブライアンジョーンズのコレクターだったレコードストアOozeのメンバーが立ち上げたこのSoleilmoon Recordings。創設当初はテープレーベルでオーナーはCharles Powneだったが、僕が一度自分の作品を卸して頂いた時には代表の名前はすでに違っていた記憶がある。曖昧で不正確な情報は放置して、いずれにせよ現在はCDフォーマットでのリリースがメインになる。時は過ぎ辰屋よろしく2012年にもなり、振り返ればメンチェにマッケンジーのハフラー、カスペアルのLPDにボストンのコントロールドブリーディングまでユニオンで言う所の019な大御所がずらり。リリース面子は良いがアルバムタイトルが良くない、ムスリムガーゼ専門屋がレーベルカラーという僕勝手個人のイメージは置いといて(MGのブライアンが死んだ後は卸先のスタールプラートもそのライセンスを切ったとか)ともかく、そんなSoleilmoon Recordingsから96年にリリースされたNEの通称トヨタ、Autonomia。
ちなみにこのレビュー、ナイジェルが70年代のイタリア新左翼ズのモビメント/運動「アウトノミア」を言及している節は大凡20%だとして、車やらエンジンの類いのオートノミアを意味するのだ、に80%と賭けてみたあくまでこのアルバムを通称トヨタと呼び続けるNEラヴァーズな偏ったレヴューになりますので予めご了承頂きたい。
トランスミッションというのは調べれば(トランスミッション 意味)変速ギアや推進軸などから構成されており、動力をエンジンから活軸へと伝達する組立部品、らしいのだが。1曲目のトヨタにしろ、2曲目の車を意味するブーブのBooにしろ、この作品においてのトランスミッションがナイジェルによる謎のテレホンマニピュレーションやラジオマニピュレーションであるとするならば。紡がれた田舎臭い伝達無線からのエレクトロノイズを動力に、稼働していくエンジンというのは間違いなくアルバムの随所で聴けるこの反復的にも永続的にも届かないチープで薄っぺらいプラスチックな「ダウンテンポ」であろう(3、4曲目のLoad/積載量では詰まりに詰まった前のめりなリズミックが用意されてはいるが)。NEがゼロ年代に突入してから執拗にサルヴェージし続けるイギリス市内でOAされるコマーシャルビート(03年のCollateral Salvageなど)あやつが好んで多用するあのチープなプリセットテクノその片鱗がこの盤にはあらゆる場面で見え隠れしている。クリティーク調なテキストを綴るならばナイジェルの「多様/多用化する広告リズムその芽生え」が発見出来る喜びと「ブーブ大好き男の子」なロマンティシズムがコラージュされた「そんな1枚」。ちなみに一般的にクリティークスは「70年代のダブとファウストが80年代アーティストに与えたインダストリアルショック、その最初の被害者がスロッビンググリッスルを聴きながら治療してたらこんなノンミュージカルで素晴らしきサウンドスカルプチャーを形成」こんなワルノリなレヴューを発見してしまったのだが(勿論大部分を今勝手気ままにリミックスしてしまいましたが)そもそもナイジェルの作品にダブとの接続は要してもサウンドスカルプスな類いとのコネクトは全然いらなくて、むしろいつまでもアートフォームにかすりもしない愛しきナイジェルの埋もれたコラージュワークスでいいじゃない、「そんな1枚」でいいじゃない。愛したい1枚。ノンミュージカルとは随分雑な印象を受けたけど。そんなNocturnal Emissionsの96年作品AutonomiaはSoleilmoon Recordingsより。
