さて、久しぶりにshotahiramaの名義から離れて、私が21だか22だかに始めてもう4年だか5年にもなる”ENG”というグループについて、このGRAFKAVANなる『カイエ』(『ノート』シモーヌ・ヴェイユ風に)にて綴ってみたいと思います。ENGの正式名称はENG (electronoise group)で、現在は私がその唯一のメンバーになります。これまでに多くのアーティストと共に活動し、俗にいう不特定多数による極めて自然発火的な音響性を意図した(コントロールフリークを除外した)無法的集団即興演法を基盤としたグループでした。テイストだけで汲取るならばそれは所謂「音響派」と「即興派」の中間に位置する、個人的に好きな言い回しを引用するならば「まるで2つの惑星間もしくは次元違いの小惑星同士、2項目の均一的なニュートラルポジションを測るか(探るか)の様に佇まう」その中間地点に煌々と煮え立つ初期衝動的なクラッシュ音響なものであっただろうか。例えばキース・ロウ(フェネス男爵の師匠)率いるブリティッシュフーリガンズAMMや、80年代欧州のスカルプチャー音響その総締めであったレーベルKorm Plasticsのヘッド、Frans de Waard(フランス・デ・ワード)が結成したKapotte Muziek等、異即興と異電子を組み合わせたそれこそ凄まじく法外であった異端な第二次サウンドアート(前者は第一次に数える事も可)に見られた、即興を集団的自衛権としてアートを固持する彼らのその姿勢に魅了されていたのだ。すべての思想は『演奏=即興的=初期衝動性=偶然性を兼備した=パフォーマンス=結果を求めない創作姿勢=総じて表現と呼ぶならば=それはアートとも呼べる』というイコール式が弾き出したものならば、アートへと回収される事をプログラムしていた私のそれは極めてテクノ的(機械的、システム的)でもあり、電子依存していた当時の私の姿勢もあながち方向性に欠いたものでもなかったのではなかろうか。
時を経て、私がshotahiramaという名義にて活動を行うテン年代。あの頃からは幾分も、何光年も離れている幻視外時空間(つまり現在)でCDをリリースし、執筆をし、異国の地へとツアーもする、この現状事実というリアリズム。音楽的、そして夢の様な文学的な世界へ、この右足を右脳を右半身を覆うゴム製のオートポイエーシスを、日々アップデートしていける環境にこの身体を持って踏み出していける事に大変幸せを感じている(もちろん満足はしていないし、まだスタートポジションが眼に見えただけだと自分に言い聞かす事が出来る程の冷静さは保持している)要するに、それでもENGに依存する、固執する、まるで暗闇に浮かぶ奇怪な新語を産み出す金属的な辞書を見つめるかの様に、ENGという活動を今も断じて手放したりはしない、その理由は一体何なのだろうか。
現在のENGは前述した通り、私shotahiramaがその唯一のメンバーである訳で、テイスト的なものもすべてダダに完全浸食されている。つまり超ダダへ傾倒しているビザール、もしくは超現実的コンクレートといったテープス音響が色濃くその臓器的な具物を吐き出している。09年の夏頃にリリースされたENGの(事実上あれがENGのゼロ年代最後のアルバム)Dokument 2006-2009 は私のセルフレーベルEdition NIkOからリリースし限定100枚の2枚組CDRにも関わらず半年でそのおよそ8割を売りつくし一つの区切りを個人的満足の確認と共に終える事が出来た(在庫はまだありますので是非この機会に)。そして何度も繰り返すがテン年代なのだ。「次の繰り返しの10年が再び始まる」脳内クオリアが腐った大脳皮質と摩擦し合う、そのフリクション効果で死滅したニューロン(神経細胞)その核となるBアミロイドが次から次へとその二次リアクションへと段階を進める。「グリッチ」効果を。体内で響く感受性という音響業務が、それはまるで故障した機械仕掛けの蝸牛の様な呻き声、私に告げるのだ。つまり何か感覚的なもの(ここにきて非科学的似非科学的なニュアンスへの到着、という事で極めて疑わしく説得に欠けるのだが)もう一度言うがその『感覚』とやらが私に言うのだ。ねぇねぇと。感覚が訴える。思春期の様な表現で恥ずかしいのだが。ねぇねぇと。しかし確実に”それ”が私の中枢を担う創作意欲やその他諸々の欲求心へと、SF的な圧が加わり私を操作するのだ。ボタン操作のように、そこを押されている間はENGのアップデートという議題とそれこそ私が音楽的分野に携わり続けるのならば(文学的な側に立てたとしても)まるで「ライフワーク」の様に生涯繰り返し更新していかなければならないのだろう。ENGはライフワークプロジェクトなのだ。きっと次の20世紀、窓の向こうに広がる大海原でスティーヴ・エリクソンが死んだとしても。続けていかなければならない。
だから。ENG名義では1年ぶり、ENG (electronoise group) の新作『Tapepoiesis』を発表致します。もちろんセルフレーベルEdition NIkOより今作はすべてハンドメイドジャケットという事もあり50枚という極少ロットでリリース致します。前作のDokument 2006-2009がベルリンダダイズムその中心人物ジョン・ハートフィールドへのデディケーション(献上)だったのに対し、今作はテープミュージックの個人的な(ENGとしての)ひとつの極みを目指したという事で、「操作、更新、退行、進化、それら全項目の全体的な共進」その在り方を体現するTom Recchion、smegma、つまりENGのテープスそのすべてのイマジネーションカイエとなっているLAFMSへと捧げられている。あなた達がいなければ今のENGは存在しなかったでしょう。

NI008R "Tapepoiesis"
release date: 20th Aug 2010
Label: Edition NIkO (Japan)
Price: 2,100 Yen (Tax Inc.)
Format: CDR
LTD: 50
Distribution: popmuzik (Japan) and more TBA...
Artists : ENG (electronoise group)
Artwork by: shotahirama (All self made cover, 50 types of design. go to flickr)
Dedicated to LAFMS
Radical free/spontaneous music/art ensemble, The Electronoise Group (ENG) is back! Their new album "Tapepoiesis" is a dedication album to legendary tape music community LAFMS (Los Angeles Free Music Society, The Lowest Form Of Music). ENG head shotahirama (now a novelist and still a laptop musician releasing some materials from Japanese sound-art label mAtter, and Re-Records from Hong Kong) is back on ENG music after their last album "Dokument 2006-2009". Bizarre, dada, surreal, all anti-real factors are concrete together as a hyper-reality tape music. This is their new masterpiece and it is a new epic for the noise-concrete music.
近年shotahirama名義で国内ではmAtter、Improvised Music from Japan、香港ではRe-Records等、執筆から翻訳、CD、文学から音楽へと「スリップストリーム」なリリース活動を続ける作家、平間翔太。そんな彼のアザーサイドとして06年に結成されたENG (electronoise group)、そのENGが実に1年ぶりとなるビザール主義的テープミュージック、その名も『Tapepoiesis』なる新作アルバムを発表致します。セルフレーベルEdition NIkOより今作はすべてがハンドメイドジャケットのCDR、50枚限定作品。ゼロ年代最終作となった前作のDokument 2006-2009がベルリンダダイズムその中心人物ジョン・ハートフィールドへのデディケーション(献上)だったのに対し、今作はテープミュージックのテン年代的トーテム(象徴)となるべく作品を目指し、「操作、更新、退行、進化、それら全項目の全体的な共進」その在り方を体現するTom Recchion、smegma、つまりENGのテープスそのすべてのイマジネーションカイエとなっているLAFMSへと捧げられている。2曲40分の超現実、その時間軸が帰属するすべてのビザールマテリアルをコンクレートした1枚。
取り扱い店舗は順に発表/掲載していきます。アップデートはこのブログでも行いますが、より正確な早さでお伝え出来るのはtwitterとshotahiramaのofficial websiteになります。
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