
Thanks for coming!!!!
さて、無事終わりました"Yukitomo Hamasaki+shotahirama" at SuperDelux Tokyo、まず始めに今回呼んで頂いた
SOUNDROOMの鈴木さんにありがとうございました!と心からのお礼を述べたいと思います。我々のわがままなお願いに(演奏当日にピアノ使いたい!ステージには出たくない!客席の後ろから演奏したい!etc)すべてお付き合い解決頂いて、最後まで何一つ渋い顔せずずっとずっとニコニコ笑顔で接してくれて、なんだかむしろ僕たち褒められてるんじゃねぇ?ってな素晴らしき日常からの解放とその幻想的錯覚か、それともポストモダンの鬱バロウズ風麻薬処方箋的なフリーキン・ブルシット、要するに誘ってもらえて良かったぁ!っていう嬉しい気持ちと、結果楽しかったぁ!という贅沢極まりない想いが込上げてきてとても幸せな気分になりました。本当にお誘いありがとうございました。
そこで、今回のGRAFKAVANではその"Yukitomo Hamasaki+shotahirama" at SuperDeluxの模様を私本人からお届けしたいと思います。因に、自分が出演したライブやイベントには必ずその日のセルフレヴューなるものをこのブログで書き留めており、さらにはシリーズ化させていて、"thank u and fuck u" というタイトルにて今回で記念すべき10回目。よってタイトルは、Thank u and fuck u vol.10 "SOUNDROOM vol.45"として書き進めてみます。(過去のシリーズはこのページの右下らへんにあります)
事の経緯を話せば長いし、このGRAFKAVANにて連日書いてきた事なのでそのへんはまるまる省くとして、シーンは
SuperDelux当日から行きましょうか。今回は"
Yukitomo Hamasaki+
shotahirama"の我ら2人に加え、映像に
Junji Koyanagiさん、ピアノに
Go Koyashikiさんが参加したまさにteam mAtterといったメンバー構成。さらに詳しく言及するのであれば、今回の映像で扱った素材は今後僕がmAtterからコラボレーションでDVDリリースする相方のイタリア人映像作家(fennesz+sakamotoでのcendreツアーにて映像担当)
Giuseppe La Spadaによるもの。もちろん今回は物理的に参加出来なかった為、彼の作品、JPEGファイルを大量に送ってもらって(彼は本来映像作家なので写真作品単体ってのは極めて異例)その写真を我らがJunji Koyanagiさんにマニピュレートしてもらう、という事だったので、グループ構成の本質を言えば"Yukitomo Hamasaki+shotahirama+Giuseppe La Spada+Junji Koyanagi+Go Koyashiki"という、mAtterにしても恐らくここまで大きなプロジェクトは、少なくとも東京で実現出来るとは思っていなかったでしょう。

(写真上:Giuseppeの写真はそもそも強烈な存在感を放っている為、3面での演出その迫力は凄まじいものであった)
SuperDeluxにはスクリーンウォールが3面あり、そこへそれぞれ別の映像を投射する手法。そしてそれぞれのファイルが違うリズム(BPM)で表示されていく様にプログラムし、つまり3面が常に映像で埋め込まれているという状況を極力避ける様にしたのだ。が、3つの写真、3つの物質、3つの生命体、要するに3つの時間軸は、それぞれが違う歳の取り方をしても数字の性質上、それでもどうして重なる時があり、その瞬間3面すべてがまるでシンクロナイズドされた流星かの様に同時に降ってくる「世界」はそれはそれは言葉に出来ない程美しいものでした。そしてこのプログラムを本番30分前までビルドしていたKoyanagiさん、タイムリミットまでの状況は打破されず結果的に急遽変更せざるを得なかった別のマニピュレーション方法という選択でも見事やってのけたこの人に、これからも大きな信頼を僕は置き続けるであろう、圧巻のパフォーマンスでした。
そんな映画館か美術館のような静けさの中、hamasakiさんがmaxパッチにて抽出したフィールドレコーディングマテリアルのサインウェーブがミクロマクロの単位でドッキング(音響合成)していく極めて抽象的な類いの音響運動が地面から沸き上がってくる。それは瞬く間に3つのスクリーンウォールへ吸い込まれていき、再び3つの口から吐かれた頃にはある種SFシンボリズムな非音楽的物質へと進化しているのであった。まるでUFOを見つけた子供たちの様に別の周波数帯もしくは残響音やなんらかのエフェクト効果が「これ」を追いかけるのである。音そのものをより強度なものにし、聴衆者の注意を煽る。極めて強引で所謂サウンドアートの静寂感とはまた違うフィジカルでポリティカル、言うのは容易いがメッセージ性のある具音への変化を試みているhamasakiさんのオペレーションは凄まじいレベルにあったと思う。宇宙船から降りてきたそれは音楽の肉体の半分もないようなやせこけたオブジェ、恐ろしく病的でしかし強烈だった、mAtterのカラーにもなっていた一般的サウンドアートからの離脱、これを体現しているかのようである。

(写真上;SuperDelux前日のmAtterのオフィスにてのパッチ確認。)
ここまでは恐らくmAtterらしい構成だろう。テキストがいささかサイバーパンクかSFあたりのイケイケ口調なのでmAtterらしく聞こえないかもしれないが、ここまでは実にうっとりするmAtterファン悶絶の内容。しかしファンには悪いが、今のmAtterには私shotahiramaというビザールノイズが存在する。例によって私も同じくフィールドレコーディングのマテリアル(hamasakiさんとshotahiramaは共に同じマテリアルを使用。主に新宿・野村ビル内のエレベーター、東京都庁最上階展望室で採取した建築的音質、
市ヶ谷にある靖国神社内にてのA級戦犯音響、等)を採用し、イタリア的というかビアンキ的というか非常にダダイスティックなテクノロジー構築を目指したテン年代コンクレートを作成。Reaktorによる音響合成。音楽的音楽、もしくは『脱ドローン』的手法、『反エレクトロニカ』的思考で12個のフレーズを用意し、hamasakiさんがコントロールしてきたSuperDelux内の湿度や温度、質感や音質、事実と虚構、鮮度を保っていたはずの最低限の音楽レベルを壊しにいく!!のではなく、よりそのスピードを助長させる運動を加えてみたのだ。
構成されたプログラムで構築されていく音響物質は一旦音楽的音楽を目指し、成熟し展開していくが最後は収拾しがたい美しき泥沼の様な奇天烈音楽と姿を変え完成される、即興シーンで多く見られるパターンである。が、私たちのコンセプトはより音楽的音楽へスムーズかつ最小限の運動で向かう事にあり、音が本来持っている仕組みを最大限に引き出し「聴く」ではなく『聴こえる』音に留め、映像への注意を促す事にあった。即ち、即興シーンに見られる一般的破壊行為はなるべく削除したかったのだ。破壊というプロセスが前述した映像への注意を散らす結果になってしまうと判断したからだ。要するに少なくとも映画音楽的な作用と副作用もしくはそれに似たテイストは存分に吸い込んでいたはずだ。
hamasakiさんの非音楽的抽象音響が映像と共に空間を、映画館を、いやしかしそこはSuperDeluxだが、その制限された空間をアブストラクトの類いで浮遊するUFOの様な静けさに似た不穏なイメージを、音楽的に仕立て上げるshotahiramaの12のファイルが無機質に捩じ込まれていく。『ズドン、ズドンと』(hamasaki談)。無機質だが有機的に絡み合う風景は、やはり映像とシンクロし、その頃にはクレジオの物質的恍惚を連想させる「マテリアルを超えた」、「物質的イメージを超えた」、それは「アートの類いを超えた」景色であった事は明白で、音を子に持つ音楽という親へ帰っていくかのように懐古的な、ロマンティシズム溢れる音楽的音楽に姿を留め続けていた。奇麗な空間だったと思う。サウンドアートの離脱はshotahiramaという反乱分子が追加されたmAtterでも実現可能だったのだ。コンセプチュアリズムで統一した結果だ。

(写真上:ちなみに
鈴木さんのお友達がこの模様を撮ってくれました!ありがとうございます!)

(写真上;これは可愛い
APAPのタカノくんがくれましたー)
しかしやはり我々が即興であった事に間違いない。その象徴だったのがmAtterのもう一人のlaptopアーティスト、Go Koyashikiさんだ。最早laptopではなく、ピアノという音楽楽器だった。お客様は映像に集中している頃で、後ろを振り返らない限り、そのピアノがラップトップアウトの電子音なのか実存する事実的生楽器なのかどうかさえ分からない、つまりはSF的言い回しで言うところのファクトかフィクションか、判断は極めて難しく、むしろそんなのはどうでもいい(映像に集中してるのよあたしたちは!)という状況に置かれていた事を考慮すると、まず即興性は嗅ぎ取れなかったはずである。が、しかしそれこそ狙いである。Improvisationやバンド形態の演奏を表現している訳ではない限り、これからも僕はこの手法で行きたいと願う心地よいスタイル。
話をパラグラフの冒頭に戻すと、そう、GoさんのピアノはYukitomo Hamasaki+shotahiramaが占領するサウンドスペースに境界線もしくは集中力がエスケープ出来る程の隙間が生じたのであれば、そこを防ぐ最後の砦、最後の音楽的物質であったのだ。hamasakiさんと僕が静まり返った世界に景色だけが生まれ続ける創世記の流れを汲んだ神話的瞬間に鳴り響く炎の様なピアノトーン。それが持つ効果は明らかに具体的であり、コンクレートされた具音のノイズより、録音されコンプレスされたフィールドレコーディングのマテリアルより、または冒頭のBBC放送の9.11テキストよりも、強烈な具体的イメージを放っており、そこを演奏という文字通りの攻撃(演奏者全員が兼ね備えていた重要ファクター)と、即興という制御(対象がピアノなら本格的ピアニストでなければならない状況下で、やはりGoさんが素晴らしいピアニストである事を確認したポイントでもある)、この2つのオメガポイントがあったからこそ今回の我々が目指した「音楽的音楽」は最後まで崩れなかったのであろう。
さて、このプロジェクトは今後もライブをベクトルにしばらく続きます。少なくとも主軸である"shotahirama+Giuseppe La Spada"のリリースまでは続きます。既に幾つかのイベントからオファーをもらっていますので、近日中にまた詳細をこちらの
GRAFKAVANブログ、もしくは
shotahirama official website、さらには最近始めた
twitterにて報告出来ればと思います。120名近くのお客様にご来場頂いた今回のSOUNDROOM、僕の大好きなユタカワサキさんも見れたし、
恵比寿gift labにてディレクションを指揮する後藤さんのライブも楽しめたし(後藤さんと語ったフィールドレコーディング論が非常に楽しかった!)、なんとも幸せな一日でした。また青山ブックセンター六本木店にて販売している私のCD、"
Unhappy American Lost in Tokyo"も帰り際にご購入頂いた皆様、本当にありがとうございました!完売です!(入荷後2週間で!!!)ちなみに7月1日に再納品していますので、まだの方は是非:)) 詳しくはこの日の
ブログにて。
KOYANAGI Junji
北海道札幌市出身。武蔵野美術大学大学院デザイン専攻映像コース修了。
映像作品から制作活動を始め、その延長として音、メディアアート作品等の制作を行う。音と映像による表現を中心に据え、 それらによる空間構成、環境設計をコンセプトに活動を展開している。
ソロでの活動以外に、pico pico stomachs、albireo、Itachi Thanatosなどのユニットでの活動、 舞踏、ダンスとのコラボレーション、music videoの制作などを行う。過去にChiristophe Charles (Ritornell, Subrosa)、four color (12K, cubic music)、yui onodera (critical-path)等、数多くの共演を行っている。 また、舞踏、ダンスとのコラボレーションに、AURORA、ねねむ、music video制作にFilflaの"FROLICFON"(WEATHER033/HEADZ108)、serphの"accidental tourist"(ELECD-09)がある。
Go Koyashiki
音楽家/映画音楽家。青森県三沢市出身。バークリーメソッド、音楽史を学び、弦楽や室内楽の作曲も手がける。ギタリストとして多くのバンド活動を経験後、音楽製作をコンピュータにシフトすると同時に、エレクトロニカ、アンビエント、実験音楽、サウンドアートといったジャンルに傾倒していく。プログラミング言語を駆使した、サインウェーブによる音響合成処理による音素材と、フィールド・レコーディングの音素材を加工/編集したものを主に作曲に使用している。舞台や映画の音楽制作にも携わっており、数多くの舞台/映画作品に楽曲を提供する。
Yukitomo Hamasaki
18歳の頃より青山MIXでのDJをきっかけに音楽キャリアをスタート。'00年、DJ HAMASAKI名義でMIX TAPE『INCOMMUNICABLE』をシリーズで2種リリース。英国でも流通されるなど、自身の音楽遍歴を反映させつつ芯の通った内容に、高い評価が集まる。
2004年にユニットnothing's clear名義で"adjustructureをangel's eggより発表。adjustructureを制作後、レコードからMax/MSP等のソフトウェアを軸に実験音楽やサウンドアートのイベントに積極的に参加。(Sound Cave/TokyoDesigner's Block,Laptop orchestra,laptop orchestra visual 北仲OPEN @ 横浜・北仲ホワイト,,etc)'07年にサウンドとデザインを軸にしたレーベルmAtterを開始。同時にコンセプト提供等も開始し、CDジャケットや建築物のコンセプト提供を行う。
shotahirama
ダダイズムの既成の秩序や常識に対する、否定、攻撃、破壊といった思想やバウハウスに見られる合理主義的・機能主義的な芸術に強く興味を持ち、電子機材を用いたノイズコンクレート、持続音響な作品制作、またその演出、表現への応用可能性、方法を探っている電子音響家、shotahirama(平間翔太。1984年アメリカ、ニューヨーク生まれ)。SIGNAL DADA、Edition NIkO、Deep Listening Chair Festival主宰者でもあり近年は執筆、オペラ脚本の英訳など文学的作品が多数発表されている。
これまでの主な作品として、Improvised Music From Japanから発刊された"Improvised Music From Japan 2009"(09年12月20日発売)での執筆、同じくCDへの楽曲提供、またフルアルバムとしては"Unhappy American Lost in Tokyo"(香港Re-Records、CDR、10年5月4日発売)がリリースされている。今後は"Giuseppe La Spada + shotahirama"(日本mAtter、DVD/BOOK、10年発売予定)、"the silence was warm vol.3"(日本Symbolic Interaction、CD Compilaton、10年発売予定)、"On high in blue tomorrows"(イギリスUnder The Spire Recordings、CDR、10年発売予定)、等その他複数(香港Re-RecordsとEdition NIkOとの共作出版)の作品が予定されている。
ENG名義では"Barcelona"(スペインTecnoNucleo、mp3、07年発売)、"Kollaps"(スペインAlg-a、mp3、08年発売)、"Dokument 2006-2009"(日本Edition NIkO、2CDR、09年発売)がリリースされており、そのリリース活動は頻繁である。